脱亜論

【社説】死亡した兪容疑者の財産、徹底追跡して没収を

　旅客船セウォル号の運航会社の実質的オーナー、兪炳彦（ユ・ビョンオン）容疑者が遺体で発見された
ことにより、兪容疑者に対する刑事処罰は不可能になった。残る仕事は、兪容疑者一家の財産を没収して
行方不明者の捜索や救助など事故収拾の費用に当て、行方をくらましていたり海外にいたりする兪容疑者の
子どもの身柄を確保して裁判にかけることだ。

　韓国政府が、これまでのセウォル号事故収拾に要したとして算定した金額は4031億ウォン（約399億円）。
韓国政府は、この費用を兪容疑者から取り立てるため、兪容疑者が不動産を借名で保有していた4人、
セウォル号のイ・ジュンソク船長と船員たち、清海鎮海運の社員・役員など25人の不動産を仮差し押さえ
した。韓国政府が兪容疑者の財産を没収するためには、兪容疑者を法廷に立たせて追及し、セウォル号
事故の責任が兪容疑者にあるということを証明しなければならない。しかし兪容疑者が死亡したため、
兪容疑者を直接追及することは不可能になった。韓国政府は、セウォル号事故をめぐる兪容疑者の責任を
どのように立証し、財産を没収するかという、新たな課題を抱え込むことになった。

　韓国政府が仮差し押さえした兪容疑者などの財産は560億ウォン（約55億円）相当にすぎず、これまでに
要した事故収拾費用4031億ウォンには到底足りない。収拾費用はこの先さらに増え、総額5000億－6000億
ウォン（約495億－594億円）に達すると推定されている。兪容疑者一家は、大規模な営農組合を運営し、
韓国各地に数十万坪（1坪は約3.3平方メートル）単位で農地を偽装保有しているのでは、という疑惑も
受けてきた。兪容疑者の子どもたちは、セウォル号運航会社の系列会社を通してひそかに米国へ財産を移し、
高級住宅など300億ウォン（約30億円）相当の不動産を持っているといわれる。検察は、こうした不動産の
実際のオーナーが誰なのかを最後まで追跡し、可能な限り没収しなければならない。兪容疑者とその悪徳
経営によって、数百人もの惜しい命が珍島沖で失われた上に、事故収拾の費用まで国民の税金で負担を
強いられるというのは、話にならない。

朝鮮日報／朝鮮日報日本語版 2014/07/23 11:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/07/23/2014072301380.html