脱亜論

▲陳重権（チン・ジュングォン）元東洋大教授

　陳重権（チン・ジュングォン）元東洋大教授と青瓦台の現職・元官僚らが文在寅（ムン・ジェイン）大統領の演説文を巡り、連日舌戦を展開している。陳元教授が「文大統領は他人が書いた演説文をそのまま読んでいる」と指摘すると、青瓦台の現職・元の演説秘書官が「事実とは異なる」と一斉に反発したのだ。

　陳元教授は10日、国民の党の「On国民勉強部屋」で、「文大統領は他人が書いた演説文をそのまま読み、卓賢民（タク・ヒョンミン）青瓦台儀典秘書官が準備したイベントを行う儀典大統領という感じがする」と発言した。文大統領の演説には歴代大統領と差別化する哲学が不足しているとの趣旨だった。陳元教授はまた、「最近盧武鉉（ノ・ムヒョン）元大統領の演説文を見ているが、本当に苦労をしたのだということが感じられる。文大統領にはそれがない」と切り捨てた。

　これに対し、青瓦台国民疎通首席秘書官を歴任した尹永燦（ユン・ヨンチャン）国会議員（共に民主党）は「自分が見ていない事実を想像するのは自由だが、それを確信して他人の前で騒ぎ立てるのはノンフィクシャル（根拠がない主張）だ」と批判し

文大統領が演説原稿を修正する姿や修正した原稿を撮影した写真も掲載した。河勝彰（ハ・スンチャン）元青瓦台市民社会首席秘書官、崔宇圭（チェ・ウギュ）元青瓦台演説企画秘書官も「自分が経験したから知っているのだが、全く事実とは異なる」と述べた。これについて、陳元教授は「文大統領が原稿の校正を行わないという意味でははく、最初から演説に自分の哲学がないという意味だ」とし、「（側近による批判は）幼稚だ」と反論した。
　11日にはシン・ドンホ青瓦台演説秘書官が自作の詩で批判の隊列に加わった。シン秘書官は「空っぽの花畑」という詩をフェイスブックに投稿した。「ある日子どもが花を摘むと人々が拍手した。子どもはもっと花を摘もうとして、とうとう自分の心の中の花を摘んでしまった」という詩だ。進歩系知識人である陳元教授が文在寅政権を批判したことで注目を浴びているさまを婉曲的に批判したものと受け止められている。

　陳元教授は直ちにフェイスブックに対抗して詩を投稿。「ある日、子どもが糞を片付けていて、ハエの群れが騒ぎ立てた。子どもはもっと糞を片付け、とうとう自分の心の中の糞も片付けてしまった」という内容で、与党関係者の様子を「糞」「ハエ」に例えた。



　陳元教授はまた、「元参謀3人に現職まで乗り出してきたのは、『タブー』の存在を思い起こさせる」とし、「この国には絶対触れてはならない尊厳があるという警告なのだろうか」と疑問を投げ掛けた。その上で、「盧武鉉元大統領は私がひどく批判しても、秋夕（中秋節）には贈り物が届いた。それが政権の格調であり、大統領の品格だ」と指摘した。

　その後、尹永燦議員は「陳元議員の関心戦略（かまって戦略）にはまったようだ。謝る」と述べた。すると、陳元教授は「自分は関心には関心がない。私への関心は持たないでほしい」と再反論した。陳元教授は「文大統領は（慰安婦被害者の）李容洙（イ・ヨンス）さんの声に真正面から応えるべきだった。実際に李さんが投げ掛けたメッセージをそっと握りつぶし、ただの『会計ミス』ということにして乗り切ろうとした」とも語った。そして、「運動勢力の声が現実に存在する慰安婦被害者の本当の声を覆い隠してしまった」と批判した。

チュ・ヒヨン記者

朝鮮日報／朝鮮日報日本語版 2020/06/12 18:54
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