脱亜論

（画像：ラグビーに関心が薄い韓国では、Ｗ杯で日本が強豪の南アを破る歴史的快挙にも静かだった）



　韓国で４大スポーツといえば、野球にサッカー、バスケットボールとバレーになる。今年で８回目を迎えたラグビーのワールドカップ（Ｗ杯）への
関心は薄い。日本の政治・経済からスポーツにかけて過敏に反応して報道する韓国メディアだが、９月１９日に行われたラグビーＷ杯で
日本がＷ杯２度優勝の南アフリカを３４－３２で破り「Ｗ杯史上最大のショック」と英紙ガーディアンなどが伝えた歴史的勝利をほとんど
報じていなかった。韓国情勢にめざとい日本のネットユーザーも首をかしげるほど。その中で、聯合ニュース（韓国版）が日本代表３１選手のうち
外国出身選手が３割を占めることを「純血脱皮」と題して報じた。少なくとも、すでに２０１１年Ｗ杯で日本代表は外国出身選手を
１０人並べており、違和感は否めない。

　韓国メディアの日本語版（電子版）で、日本が優勝候補・南アフリカに歴史的勝利を挙げて数日間、このニュースは見られなかった。
やっと朝鮮日報（電子版）が９月２２日付で「歴史的大金星に沸く日本」と題し、２３日に第２戦でスコットランドと戦うことを扱った。
記事は、大会序盤の話題は日本代表だとし、南アフリカ戦の勝利で「日本の新聞各紙やメディアはどこもこの快挙を大きく報じた」と伝えた。

　そして、日本代表がここ数年、外国出身選手を積極的に取り入れて戦力の向上を目指してきたと指摘し、今大会で「世界的な強豪国である
オーストラリア、ニュージーランド、トンガなどから１０人（うち５人は帰化）の選手を代表に選んでいる」と続けた。

　聯合ニュースの韓国版は南ア戦勝利の翌２０日、日本ラグビーの躍進の一つの要因として、出身国で代表選手の経歴がなく、３年以上居住した
国の代表になれる規定を説明しながら「果敢な『外部輸血』が大きかった」と評論。「『純血脱皮』日ラグビー　世界の強豪南アフリカ倒し、列島揺れる」
という見出しで報じ、暗に日本人のみで構成された代表ではないことを強調していた。この報道に合わせるように、韓国のネットユーザーも
「アジアのチームと言えるのか」などと批判的なコメントを寄せていた。

　ただ、この報道も日本が歴史的な快挙を演じたればこそ。日本代表は２０１１年Ｗ杯ニュージーランド大会でも、今大会の主将を務める
マイケル・リーチら外国出身選手１０人を選出している。結果は１分け３敗。世間的な注目が薄くても仕方ないところだ。まして、ラグビーに
関心の薄い韓国で浸透していなくても当然か。

　朝鮮日報は９月２３日付で「韓国であまり知られていないラグビー・ワールドカップとは、一体どんな大会なのだろうか」と書き、テレビ中継が２０９カ国で
放送され、今回のイングランド大会の収益が１兆２０００億ウォン（約１２００億円）と紹介。英フィナンシャル・タイムズ紙が１２年ロンドン五輪を上回る
経済効果が期待できるとした記事を引用した。

　韓国は、今回のＷ杯の予選を兼ねた昨年５月のアジア対抗５カ国で第３戦の日本に５－６２で敗れたことで、史上初のＷ杯進出の「夢を断念せざるを
得なくなった」（中央日報）。スポーツ・ナショナリズムの強い韓国。特に日本が相手だと、それは最高潮に達するが、実力差がありすぎたためか、
特に批判の声が上がったかは気づかなかったほどだ。

産経ニュース　2015.10.5 06:00
http://www.sankei.com/premium/news/151005/prm1510050006-n1.html